花鎖に甘咬み
「あー。真弓、言葉足らずなところは変わってないんだ」
ふ、と笑った燈さん。
花織さんとも伊織さんとも、〈白〉の誰とも違う、裏も表もなさそうな笑顔を浮かべて。
「僕は、〈赤〉を統率する立場にあたるんだ。一応ね」
「統率……?」
って、ことは。
信じられない思いで燈さんをまじまじで見つめてしまう。
「〈赤〉のトップ、ってことですか」
「そういうことになるかな」
「え、ええ」
〈赤〉の頂点に君臨するということは、〈白〉の頂点である純圭さんと対をなす存在であるということだ。
あの、純圭さん、と……。
「あの、失礼を承知の上で、お聞きするんですけど……」
「いいよー、なんでも聞きな」
「燈さんって、おいくつ、なんですか?」
「うん? 年齢ってこと?」
こくり、頷く。
神妙な面持ちの私に、燈さんは不思議そうに微笑んで。
「正確な年齢はヒミツでいい? 恥ずかしいからさ」
それから、顎に少し手をあてる。
「ちぃちゃんよりは、かなり年上だよ。16歳なんでしょ? 若いなー。ちぃちゃんくらいの年齢の女の子からしたら、僕みたいなのは “おじさん” 扱いされるのかもしれないと思うと、恐ろしいよ」
「えっ」
なんで、私の年齢、知って……。
じゃなくて、それよりも。
「年上……なんですか?」
「……? うん、余裕でね。だって、僕〈薔薇区〉の中で最年長だし」