花鎖に甘咬み
燈さんの言葉に、ぱちぱちと瞬きを繰り返す。
「嘘っ!?」
「え、そんな驚く?」
「それって、真弓よりも……ですか」
「もちろん。真弓はまだ10代でしょ」
ってことは、燈さんは10代より上ってことで。
信じられない気持ちになる。
「純圭さん、よりも……?」
「ああ。純圭よりはちょっとだけ年上」
「……」
「あれ。そんなに意外だった?」
「てっきり、私よりも年下だと思ってました……」
素直に白状する。
だって、背格好も顔つきも幼い。
中学生だって言われたら、ふつうに信じると思う。
だけど、たしかに言われてみれば。
燈さんのまとう落ちついた空気は、それだけの人生経験からできあがっているのかもしれない、と納得する。
ふむ、と腑に落ちる私とは真逆に、燈さんはがっくりとうなだれていた。
「え、あ、燈さん?」
「僕、やっぱりそんなに幼く見えるかな……」
「ご、ごめんなさい」
童顔はコンプレックスだったのかもしれない。
私のひとことが燈さんの心の傷口に塩をぬってしまったかもしれない、とおろおろしていると。
「ふは、ごめん、冗談」