竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
    ◇ ◇ ◇


 それは迷子になったクレッグを探し出してから少し経ったある日のことだった。

「えーっと、私?」

 仕事を終えたミレイナは、ラルフが直々に届けにきた手紙を見て戸惑った。

 ジェラールからだというその手紙を開くと、中には一通の便箋が入っており、そこには一言だけこう書いてあった。

 ──勤務終了後、執務室にくるように。

(なんで?)

 ミレイナは戸惑った。呼ばれる理由が全く思い当たらない。
 ジェラールはここ最近、一日と置かずに魔獣舎を尋ねてくる。用事があるならば、そのときに言えばいいのに。

「陛下はいったいなんのご用で?」
「さあ? 俺は知らないよ」

 ラルフは首を横に振る。
 なんの情報も得られず、ミレイナは眉尻を下げる。

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