センチメンタル・ジャーニー ~彼を忘れるための一人旅

2時間足らずで 戻って来た奏斗。

「お帰りなさい。」

出迎えた 私を 奏斗は 抱き締めた。


「葉月…もう大丈夫だよ。俺 もう2度と カンナには 会わないからね。」

奏斗の胸から 顔を上げて 私は 奏斗を見る。


優しく 頷いてくれる奏斗は

走った後のような 爽やかな 疲労感を 滲ませていた。


「カンナさん わかってくれた?」

「うーん。どうだろう。その場では 何も言わなかったけど。俺 カンナの目の前で スマホもメールも 着信拒否したから。もちろん ラインもブロックしたし。カンナが 俺に連絡を取ろうとすれば 実家とか 職場とか。他の人にも わかる方法しかないから。カンナ プライドが高いから。そこまでは しないと思う。」

「カンナさんにも 良い人が みつかるといいね。」

「そうだね。あとは カンナ次第だろう。」


「奏斗 ありがとう。私 頑張るからね。」

「んっ?何を 頑張るの?」

「もう…これから ずっと。奏斗の 奥さんとして がんばるんでしょ。」

「ハハッ。ありがとう。そんなに 頑張らないでね。俺が グダグダに見えちゃうから。」


私は 奏斗の胸に 抱き付いて ギュッと背中を抱いた。


「葉月 どうしたの?何か 可愛いんだけど…」


奏斗は 私を抱き締めて 髪に 顔を寄せる。


まだまだ 始まったばかりの 生活。

これからも 私達に 試練はあると 思うけど。


ずっと 奏斗と一緒に 歩いていく。


辛いことに 出会ったら

1人で過ごした クアラルンプールを 思い出そう。


そして 奏斗と 再会した時の 嬉しさを。


今日 カンナさんを 傷付けたことも

忘れたら いけない…


だから 絶対に 幸せにならないと。


「奏斗…また クアラルンプールに行こうね。」

「うん。新婚旅行 クアラルンプールにする?」














                  ~end




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