男の娘の名探偵、シャルロッテ・ホームズ
「に、日本……から」

必死に笑顔を作り、ハルはご飯を食べながら男性と会話を進めていく。不意に男性は立ち上がって、ハルの手を引くと、お金を払って走り出した。

そして、路地裏へとハルを連れ込む。

「……可愛い女の子が居たから、落として、誘拐してやろうと思ったのに……何で、ハルがここにいんの?」

男性の口から出たのは、日本語だった。そのことに、ハルは戸惑いを隠せない。

「……もしかして、翔(しょう)……くん?」

ハルが日本語で返すと、男性――翔は「そうだよ」とニヤリと笑った。

「お前、まだ女装してんのか?気持ち悪いんだよ!」

ハルの目からは、涙が零れる。

「はっ……男なのに、泣くなんてだっせ〜!」

翔はニヤニヤと笑いながら、ハルの体を強く押した。その衝撃で、ハルはバランスを崩して地面に倒れてしまう。

「違う。ダサくなんかないから」

ハルと翔の間に、シャルロッテが入った。

「お!可愛い子、発見。君、名前は?」

翔は、シャルロッテの姿を見てからニコリと笑う。

「……僕?僕は、シャルロッテ・ホームズ」

「へぇ、女の子なのに一人称僕なのか……まぁいいや。お兄さんが、楽しい場所へ案内してあげる」
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