男の娘の名探偵、シャルロッテ・ホームズ
シャルロッテに近づいた翔は、シャルロッテの腕を掴んだ。

「……嫌だよ。ハルを傷付けたやつなんかと一緒に行かないから」

翔の手を振り払って、シャルロッテは翔を見据える。

「……大丈夫だよ。もうハルには、手を出さないって約束するから」

そう言って、翔は銃をシャルロッテに向けると、発砲した。それは、ハルの近くに当たる。

「……はぁ。レイモンド。さっさと連行してよ……何だか腹立つ」

シャルロッテの言葉に、物陰から飛び出したレイモンド警部は、翔を捕まえて、腕に手錠をかけた。

「名前や見た目からは、女性にしか見えないけど、教えとくよ。僕は、男の子。ただの探偵さ」

翔と目を合わせ、シャルロッテはニコリと笑うと、まだ泣いているハルに近づく。

「……ハル、頑張った。怖かったよね……ごめん。ごめんね」

シャルロッテは、ハルをぎゅっと抱き締めた。荒い息をしながら、震えながら、ハルは涙を堪えるのを止める。

すると、先程よりも大量の涙が、ハルの目から零れた。

「……うん。怖かった……怖かったよ……っ!」

ハルは、声を上げて泣き崩れた。
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