❀🍞Pan・Rouge🍞 Ⅰ❀
彼女はそんな冗談を言われ、甘酒を零しそうになったが、彼は『―――ありがとう・・・ございます。』と、紳士らしくお礼を言った。彼はシャラン、シャラン、と鈴を鳴らすと、『―――こいつは、天然ボケだが、一緒にいて・・・楽しい・・・こいつが居たから、今迄、幸せに暮らせている。こいつとずっと一緒におり、子供が数人授かりますように。仲の良い、夫婦で居たい―――。それに―――こいつが大事にしている店も、もっと繁盛してくれるように、祈っています。』と言った。彼女は一緒に聞いており、周りの人も、目を丸くしていた。こんなに大事に出来る人がいるのか?―――誰もがそう思った。彼女はとても幸せであり、ボロボロと、涙が零れ落ちて行った。
彼女は―――菜緒は泣き出すと、彼はポンポン、と頭をさすった。彼は満面な笑みを浮かべていた。彼女は高校や大学の時、好きだった人は居らず、初めての御見合いの時、かなり緊張していた。相手も―――智也もそうだったらしいが、御見合いの時、相手に嫌われないようにとか、粗相のないようにとか、色々と、これでも悩んだ挙句、夫婦に鳴る事にした。彼が一番良い人だと思った。小さい頃は、特に好きな人はおらず、製菓学校に入った途端、告白を数人受けた事もある。だけど、どの人とも上手く行かず、直ぐに振られてしまった。器量が足りない―――とか、ブスとか、馬鹿にされている時があり、御見合いを拒否っていた理由だ。無事に結婚式を挙げても、本当に自分を、愛してくれているのか?―――それで先ほど、問い質してみた。だけど、智也は受け入れてくれた。だから、御見合いの相手は、慎重に選ばなくてはならない。菜緒は改めてそう思った。ずっと愛している―――それが、人の気持でもある。
―――ありがとう―――
―――私も・・・愛している―――
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