❀🍞Pan・Rouge🍞 Ⅰ❀
彼女は泣きながら、ゆっくり起き上がると、ある人に抱き着いた―――。それかあいら、彼女は『愛している!!』と言おうとした。それは自分を大事にしてくれると思う、安心できる男性である。それはあの時、好きなはずなのに、振って来た奴ではなく、菊地智也の事でもあった―――。
菊地智也は御見合いしてから、一月ほどで、籍を入れてしまい、同棲生活をしていた―――。
『―――酷い・・・皆、皆、裏切るんだ・・・此の、裏切り者ぉ―――。』
彼女はショックを受けるし、『―――だ・・・誰か・・・助けて―――。』と言った―――。
それから、川野学は部屋から出て行った。菊地智也と彼女は抱き合ったまま―――泣いていた。
『―――智也・・・ありがとう。』
『―――ごめん・・・俺・・・昨日は、お前のプレゼントを買いに行ってて・・・玉田に選んでもらっただけなんだ。ほら・・・これ・・・』
それは―――綺麗に作られた―――指輪でもあった。指輪を買ってきており、彼女に渡そうとした。彼女はふわりと笑うと、ゆっくりと頷いた。だから、一緒にいたいと思うようになった。
好きな人は―――彼女は、今、決めてしまった―――。それは―――菊地智也に口づけされてからではない。菜緒は智也に口づけされ、引っ叩いてしまったが、本当は嬉しかったと思っていた。
どうして、こんな風になっていたのか?―――あの時、ずっと好きだったから、オッケイした。
お見合いしているし、彼女はずっと好きだった―――。御見合いをしたら、彼女は―――菜緒は、彼をドンドン好きになっていった―――。裏切っているのは、自分だった―――。
『―――悔しい・・・私・・・彼に―――・・・』
―――だけど・・・私は・・・好きだ―――菊地智也が―――
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