君だけが、ずっと好き。
行程表見た?と言ってポケットに入れていたそれを瑛茉の顔の前に広げて掲げると、瑛茉は信じられないとでも言いたげに目を丸くした。




(こいつ、これでも実行委員なのか…?)




「ご、ごめんて!実行委員なのにって思ってるでしょ…」


「よく分かったな」




俺が考えていることが分かったのはさすがだ。


だてに長いこと一緒にいるだけのことはある。




「伊吹はさすがだね、記憶力」


「ナメんな。もう1人が瑛茉だからいつもより2倍くらいしっかりしおり読んだ」




瑛茉がポンコツだということは俺は嫌という程わかっている。


勉強も運動も人並み以上にできるくせに、こいつはどこか抜けてるんだ。




(アホ気質…)




「私、伊吹が生きててくれれば人生どうにかなるんじゃないかな…」




瑛茉のやつは何かひらめいたような顔で相変わらずのバカ発言。


どこまでもズレたやつだ。




「バーカ、そんなんだからいつまでたっても彼氏のひとりもできないんだよ」




そこまで言って、あ。と思った。




そうだ。こいつには好きな男がいるんだった。


中学の頃から、きっと今も。



そして誰かから聞いた話によると、そいつは年上でイケメンな男。



誰だかは知らないけど、俺じゃないということだけは確かだった。




< 62 / 323 >

この作品をシェア

pagetop