やがて春が来るまでの、僕らの話。



「……スマホ、鳴ってるよ」



ポケットから取り出して確認すると、ディスプレイには志月くんの名前が表示されていた。

降っている雪が画面に溶けて濡れるのが嫌で、すぐに通話に切り替えて耳へ運ぶ。


「もしもし……うん、今見つかった。うん、うん」



静かな神社に消えていく声。


十五歳のガキが生意気に、地獄の底まで行ける気がするって。


大した人生経験もないくせに、そんなことを思ったさっきの自分が急に恥ずかしく思えたりした。


地獄なんてきっとないのにね。



だけどもし、


もしも本当にあるとしたら、俺は本当に行くのかな。



こいつと二人だったら、本当に行くのかな……


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