やがて春が来るまでの、僕らの話。







「大丈夫だった?」


お弁当を食べ終えて教室に戻ると、隣の席に若瀬くんが座っていた。


「うん、大丈夫だった」


見渡す教室の中に、陽菜と柏木くんの姿がない。

どこに行ったんだろう。


「陽菜とカッシーなら保健室」

「保健室……」



中途半端な優しさは相手を余計追い込む。

武田さんが言っていたその言葉が、頭から離れない。

陽菜以外に友達を作ることは、陽菜にとって中途半端な優しさになるのかな、って。


だとしたら私は、どうすればいいんだろう……



「武田さんたちに聞いたよ」

「ん?」

「陽菜の家の話……」


伝えると、若瀬くんはなにも言わずに私を見た。

教室内はギャーギャーと騒がしくて、私たちの周りだけ、どこか別の空間にいるように静かになった。



「……若瀬くんはあるの?」

「なにが?」

「一生陽菜を支える覚悟……」


陽菜と今も仲良くしているってことは、その覚悟があるのかな。


「どうだろうね。一生幼馴染だから縁が切れることはないし、その点では支える覚悟があるのかもしれない。……けど」

「けど?」

「陽菜は俺に依存してるわけではないから。だから簡単に言えんのかも」



依存。

その言葉に、胸の奥がズッシリ重くなる。


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