やがて春が来るまでの、僕らの話。
「元気ない?」
トーストと目玉焼きとウインナー、それからミルクと砂糖が1つずつ入ったコーヒーがテーブルに並べられた。
ハナエちゃんが作ってくれた朝食を食べながら、隣で頬杖をつく彼女と目を合わせる。
「元気だよ」
「そう?」
「うん」
起きた時からずっとあなたのことを考えてました、なんて言えるはずもなく。
あ、でもあなたのことを考えてましたって言えば、それって告白になんのかな。
言えるはずもないなんて考えてる時点で、俺ってば結局ダメダメじゃん。
「今日からだね、仕事」
「うん」
「今更だけどさ、夜営業の店だから生活リズムとか狂っちゃいそうだけど、大丈夫?」
「大丈夫だよ、私夜型人間だし」
「でも体に悪いよな」
「大丈夫、家がなくても風邪1つ引いたことなかったから」
大丈夫って本人が言うんなら、それを信じるしかないけど。
でもやっぱりちょっと、心配だったり……