やがて春が来るまでの、僕らの話。


「元気ない?」


トーストと目玉焼きとウインナー、それからミルクと砂糖が1つずつ入ったコーヒーがテーブルに並べられた。

ハナエちゃんが作ってくれた朝食を食べながら、隣で頬杖をつく彼女と目を合わせる。


「元気だよ」

「そう?」

「うん」


起きた時からずっとあなたのことを考えてました、なんて言えるはずもなく。

あ、でもあなたのことを考えてましたって言えば、それって告白になんのかな。

言えるはずもないなんて考えてる時点で、俺ってば結局ダメダメじゃん。


「今日からだね、仕事」

「うん」

「今更だけどさ、夜営業の店だから生活リズムとか狂っちゃいそうだけど、大丈夫?」

「大丈夫だよ、私夜型人間だし」

「でも体に悪いよな」

「大丈夫、家がなくても風邪1つ引いたことなかったから」


大丈夫って本人が言うんなら、それを信じるしかないけど。

でもやっぱりちょっと、心配だったり……


< 212 / 566 >

この作品をシェア

pagetop