やがて春が来るまでの、僕らの話。



それはきっと、人気のある幼馴染の男子三人と一緒にいるから、妬まれているだけなんだろうけど。

妬みとかやっかみとか、こんな小さな町にもあるんだなって。

小さい町だからこそあるのかなって。

なんとなくだけど、色んなことが分かってきた。


「どうしたの?」

「ううん、なんでもない」


やっぱりみんな、それぞれに色々あるんだよね。

自分だけが悩みを抱えているわけじゃない。

少しだけ周りが見えてきた気がするのは、この町に馴染めてきた証拠かな。


「ねぇハナエ」

「ん?」

「ハナエ、もう転校とかしないよね?」

「え?」

「ずっとこの町にいてくれるんだよね?」

「うん、多分いると思うよ」


ずっとこの町にいる。

子供の私にこの先の未来なんてわからないから、ずっといるよって、ハッキリ断言することは出来ない。

だから答えは、『多分』


「……多分?」


陽菜の目が、じっと私を見た。


「………そっか、多分なんだ」

「?」


なんだろう。

多分じゃ、ダメなのかな……

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