やがて春が来るまでの、僕らの話。
「ハナエー、帰るよー!」
放課後、呼ばれた先で陽菜と柏木くんと若瀬くんが待っていた。
そんな風に待っていてくれる友達が嬉しくて、私はカバンを持ってすぐに駆け寄る。
「あーあ、外出たくねぇ。ぜってぇ寒いじゃん」
マフラーに首を埋めて、柏木くんが唸っている。
「じゃあ学校泊まる?」
「この学校出るしなー」
「え、出るって……」
「花子ちゃんでしょ?」
「トイレの花子さん?」
「違う違う、給湯室の花子ちゃん」
「え、誰」
「事務のおばさん。夜な夜な居残りして仕事してんの。んで給湯室でお茶淹れてんの」
「花子仕事遅いから~」
「忙しんだよ、花子は」
そんな話で盛り上がりながら、四人で学校を出た。
まだ雪が積もっていない冬の空気は、ツンとしていて痛いくらいに寒い。
「わ、バケツの水が凍ってる。すごい、さすが雪国」
「ハナエってもしかして、雪見たことない?」
陽菜に聞かれ、記憶を辿ってみる。