やがて春が来るまでの、僕らの話。


「星、きれいだよ」


見上げた空には星が輝いていて、ハナエちゃんも伏せていた顔を上げて夜空を見上げた。


「……きれい」

「でしょ?」


7年前、俺が呑気に高校生活を送っていた頃、雪の降る、遠い遠い小さな町で起きた悲しみ。


きっと俺が笑っていたとき、ハナエちゃんは泣いていた。


きっと俺が笑っていたとき、律くんは泣いていた。


きっと俺が笑う今だって、2人共大きな何かを抱えながら生きている。


何も出来ないから悔しくて、2人が抱えているその気持ちが分からないから悔しくて。


役立たずな俺が2人に出会った意味を考えてみるけど、やっぱり答えなんて見つからない。


静かなこの丘で考えたことは、未だなに1つ答えは見つからないままなんだ……



< 233 / 566 >

この作品をシェア

pagetop