やがて春が来るまでの、僕らの話。






<若瀬side>



「ねぇみっちゃん、よかったの?」

「え、なにがかしら」


夜、みっちゃんから一緒に飲もうって誘われて、仕事帰りに居酒屋に入った。

唐揚げとシーザーサラダと炒飯を食べながら、すでに酔ってるみっちゃんがいる。


「本気だったんでしょ、カッシーのこと。ハナエに取られちゃってよかったの?」


俺の声に、みっちゃんは静かに箸を置いた。


「私が本気になったって、どうにもならないってわかってたもの」

「そんなことないでしょ」

「そんなことあるのよ。それにいいの、ヒデトはずーっとハナエのことが好きだったんだもの。報われたならよかったわ」

「みっちゃんそれ優しすぎ」

「あら若瀬くん、あなたでもいいのよ?私と付き合う?」


しんみりした空気を振り払うように、冗談交じりの視線が俺を見た。


「みっちゃんが真剣にそれを言ってるなら俺も真面目に考えるけど、冗談で言ってるからなんも答えねぇ」

「やん、真面目いい男~!」

「はは、なんだよ真面目いい男って」


笑ながら、ジョッキに残るビールを一気に飲み干す。


< 499 / 566 >

この作品をシェア

pagetop