やがて春が来るまでの、僕らの話。



そりゃそうだ。あの人は俺とは違う。

あの人は、自分のことより相手のことを何より優先して考えるから。

律くんだって本当は、ハナエを養うくらいの覚悟はあったはずなのに。

でもハナエの人生ってやつを考えて、しっかり働く道を進ませたはず。

傍にいてほしくて、働く時間すらもったいなくて、できればずっと一緒にいたい。

こんな風に自分のことばっか考えてる俺とは、根本からして違いすぎる。


「なに落ち込んでるの?」

「べっつにー。ハナエの顔見てたらまんじゅう食いたくなっただけ。仕事帰り買ってこよっかな」

「…つぶあんね。」

「ハハ、食うのかよ」



………本当に違いすぎるんだ。

出来すぎた兄貴と、出来そこないの弟だから。


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