超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。




「まだちゃんと言えてなかったね」



ちゃんと区切りをつけなきゃいけない。


凌馬くんにも、颯くんにも失礼だ。



立ち上がって凌馬くんの前に立つ。




「わたしは、颯くんがすきです。颯くんだけがすきです。だから、凌馬くんの気持ちに応えることができません。ごめんなさい」



はっきりと言葉にして頭を深く下げる。

わたしには颯くんしかだめなんだ。



すきなのは、颯くんだけなんだ。




「……わかってるよ」

「……うん」



顔を上げると、切なそうに、でも笑っていた。




「ぜったい後悔させるから」

「うん」

「すげぇ俳優になるから。ソラが主演になれないくらい」

「うん」

「……気づけなくて、ごめんな」

「うん」

「店には通うから」

「いつでも待ってるよ」

「え、ゆきちゃん……」



わたしが話し出してからずっと黙っていた颯くんがわたしの手を握る。


そちらを見ると子犬みたいな表情で立っているわたしを見上げてきた。





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