超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。
「言わなかったおれが悪いんだ。芸能人としてじゃなくて、普通に接してくれるゆきちゃんの存在がうれしかったから黙ってた」
「いえ、本当に無知で申し訳ないです。テレビとかあんまり見ないんで……いまでも不思議な感じです」
芸能人がわたしの部屋にいる。ということではなく、空野さんが芸能人だということが。
「謝る必要ないよ。でもよかった。ゆきちゃんが変わってなくて」
「え?どうゆう意味ですか?」
「芸能人だってわかると良くも悪くも変わる人がいるからさ。でも、やっぱりゆきちゃんはゆきちゃんだ」
そう言うと、ゆっくりと手を伸ばしてわたしの頬に添えられる。
少しひんやりしている手は、緊張していたことを表しているのかもしれない。
わたしの頬の熱に触れて、同じになる。
「空野さんも空野さんです」
「うん、そうだよ。だから、距離とろうとかひどいこと言わないでね」
わたしの少しの考えも空野さんにはお見通しみたいで、もう一度釘をさされる。
よっぽどいやなのかな。
でも、それはわたしも同じだ。
「はい。これからも空野さんと変わらずお話したりしたいです」