世界でただ一人のヒーラーは生殺与奪を握ってます。
クロエはアリシアと視線がぶつかる。アリシアは息も絶え絶えでぜえぜえと呼吸を乱していた。かなりの魔力を消耗したとみられる。ジルの時とは使った魔法が違うということか。アリシアはかすれた声で「クロエ集中してください」と告げる。
ジルは何が起きたのかわからず放心状態になっている。それをカイが盾で庇うためにジルの前に位置どっていた。バアルはもう一度大きく棍棒を振り上げた、瞬間に
クロエの風の刃が腕を切り落とし、次に首を切り落とし、バアルは前のめりに倒れ絶命した。
「ありがとう」ジルは放心状態のままながらアリシアに礼を言った。
クロエもまたアリシアに近寄って抱きつく。
「本当にありがとう・・・ジルはもうダメかと思ったわ」
「命のかがり火が消えていませんでした。報酬はサーシャに渡しといてください、私はこのまま失礼します」
「ええ、分かったわ、アリシア、本当にありがとう」
アリシアは一人で湖の畔の小屋に帰って行った。すぐには仲良くなれないかとクロエは残念に思った。
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