前世で生き別れた夫と、来世で再び会いました。
 しばらく、私はセンリもレオンも視界に入れないようにしていた。

 レオンに合わせる顔がない。

 すると、後ろからレオンの小さく呟く声が聞こえた。

「──…Sword」

 ソード…剣?

「っ…レオン!」

 振り返ると、センリの首に氷の剣をあてがっていた。

「もう、済んだだろう」

「ほォ、自分を忘れられるのが嫌か」

「彼女に何か、言うことはないのか」

「何か?別にないな」

「そうやっていつも…!!」

 レオンはカッとなって、センリに言った。

「憂さ晴らしでもしたいか?」

「──彼女への償いを、してもらう」

「外、出るか」

 嫌な予感しか、しない。

 私は止めようと、動こうとする。

 でも、ひどい倦怠感が私のカラダをその場に留めた。

「ねぇ…っ、レオン…」

 その声は、レオンには届かなかった。



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