センチメンタル・ジャーニー Ⅱ ~俺が本当に守りたい人

カンナから 電話で  ” すぐに来て ” と言われて。


俺を 送り出す時の 葉月の冴えた目に

俺は 少し嫌な予感が したけど…


「気をつけてね。」

と言って 微かな笑顔を 向けてくれたから。


ごめん 葉月… あの時 俺が 行ったことで

葉月のことを こんなに 苦しめてしまった。



自転車の高校生に ぶつかったって言って

カンナが 電話で 甲高い声を 出すから。


病院に行った方が いいのか

誰に連絡すればいいか わからないって。

カンナが 半泣きで 俺を呼ぶから。


俺が 無視して 大騒ぎになるのが 嫌で。

俺は 葉月のアパートから 駆け出した。


いつも そう… 

カンナは ちょっとしたことで 

大騒ぎをして 俺を呼び出す。



でも 俺が カンナの言った場所に 着くと

そこには もう 誰もいなくて。


『もしもし カンナ。どこにいるの?』

『あっ 奏斗。もう家に 帰ってきたよ。』

『そうなんだ…あの後 どうした?』

『うん。自転車の高校生が お母さんを呼んで。それで 連絡先を交換して…腕が 痛むようなら 明日 病院に行って下さいって言われた。』

『それで?怪我は 大丈夫なの?』

『うん。今のところ そんなに痛くないし。動くから。骨折とかでは ないと思う。』

『そうか。なら良かった。』

『奏斗 来てくれたの?ごめんね。うちに寄る?』

『いや。もう帰るけど。たいしたことなくて 良かったな。』



俺は カンナを責めることも 言わずに 電話を切った。







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