センチメンタル・ジャーニー Ⅱ ~俺が本当に守りたい人

ホテルのロビーは 人の出入りが 多くて。

俺は 葉月を 見逃さないように

入り口に 神経を 集中させていた。


ここに 葉月が 戻ってくると思うと

待っている時間なんか 苦にならない。


今 葉月は どこにいるのだろう。

たった1人で 知らない国に来て。


何を思って 出かけて行ったのだろう…


このホテルに 泊まっていたことで

葉月の中に 俺は まだ残っていると 思ったけど。


葉月は 俺を 許してくれるだろうか…


どれほど 罵倒されても 時間が かかっても

俺は 葉月に 許してもらうまで 諦めない。


葉月が いなくなったと聞いた時の

俺の衝撃は カンナのこととは

比較にならないものだったから。


激痩せした カンナを見た時

俺の心を 動かしたものは 保身だった。


カンナに 何かあって 

俺の責任になることが 怖かった。

そこに 愛情は なかったから。


でも 葉月が いなくなって

俺が感じたものは 喪失だった。


これから どうやって 自分を支えればいいのか。

葉月のいない 人生を 俺は 生きていけるのか。


葉月に ここまでさせて やっと気付くなんて…


俺は 本当に 思いやりが 足りなかった。






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