俺の前では泣いてもいいよ。【修正中】
「今日は"自分らしさ"を知る授業です。自分について話し合ってみてください」



暑さにも負けない声で担任が言い放った。最近こういう授業が増えたな、と心の中でため息をこぼす。

自分のことを知って、まとめることで、面接対策になるとか、小論文対策になると先生たちは口を揃えて言っていた。



短所であったり、長所であったり、なにかと自分と向き合う機会が増えて、とてつもなく憂鬱だった。



みんな頭を抱える。「私らしさってなに!?」と友達同士で話している声も聞こえる。

窓から差し込む明るい光が彼らの顔を輝かせていて、さっきのような暑さは感じさせない清々しい笑顔が覗く。



他の人は涼しい場所にいて、私だけが熱気に包まれているんじゃないか、と錯覚してしまいそうになる。


私はその笑顔から目を逸らして、視線をプリントに移した。



【自分を知ろう】と書かれたプリント。

そもそも"自分らしさ"を知っている人なんているのだろうか。私からみて輝いている人たちも頭を悩ませているというのに、私にわかりっこない。
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