タイムトレイン
「私は…」
正直、ノンの話が本当かは信じられない。
確かに初めに列車を見た時は”普通じゃない”ってすぐに分かったけど、まさか時空を超えることが出来る列車だなんて思わないし。
ノンの言葉は本当なのか、それとも私は騙されているのか分からなかった。
でも、それでももし本当に時空を超えることが出来るのなら私は…
「ノン。私は貴方の言葉を信じていいの?」
「あぁ。急に現れた奴にこんなこと言われてすんなり信じる方が珍しいと思うが…俺は嘘はついていない。だが、信じるも信じないもハル次第だ。自分で決めろ。」
私は…。
信じていいのかまだ分からないけど、もし本当なら。
私は、”あの日”に戻りたい。
「ノン。私、過去に戻りたい。」
「そうか。分かった。ただし、このタイムトレインはとある1日にしか行くことが出来ない。その日に飛んで、そこで何があろうとも、必ず時間内に現在に帰って来てもらう。 これは規則だ。」
「分かった。」
「いつに戻りたい?」
「中学の卒業式の日…3月15日に戻りたい。」
「分かった。それでいいんだな。行くぞ!」
ノンが運転席のような所で何かを設定した次の瞬間、列車が動き出した。
本当に、本当にあの日に戻れるのかな?
もし戻れたら私は…
あの日伝えられなかった事を、あの日出来なかった事をやりたい。
あの人に、逢いたい。
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