溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~
「店員さんの制服もかわいいし、それに皆さんいつも笑顔。素敵なお店でしたね。今まで提供するスイーツにばかり気を取られていましたけど、お店の雰囲気や接客も重要だって改めて気づきました。お客様に幸せを感じてもらえる空間を提供するというホテルの原点、忘れたつもりはなかったんですけど、初心に返って色々練らないと……」

ホテルの従業員である以上、それに関しては新入社員のときから叩き込まれているが、お客様との接点を持つ機会が少ない裏方ということもあり、認識が薄れていた。
ほんの半時間だが心地よい時間を過ごしたことで、クリスマス企画へのアイデアや熱意がいっそう強くわきあがってきた。

「社長や侑斗さんの海外進出への熱意に比べるとまだまだですけど、私も白石ホテルのために頑張ります。あ、社長の奥様にも素敵なお店を紹介していただいたお礼を伝えておいてくださいね」

仕事のこととなると相変わらず饒舌になる梨乃に、侑斗は笑って頷いた。

「週明けにでも諒太に渡しておくよ」
「お願いします。ふふ。チョコレート、楽しみですね。今夜早速ふたりで食べましょうね」

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