溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~
 だったらその不安を今ここで消してしまおうと、梨乃は侑斗を抱きしめる手にさらに力を込めた。

「こうして侑斗さんにしがみついて、振り落とされそうになっても絶対に離れない」

侑斗の胸に顔を埋め、どうすればわかってくれるのだろうと悩みながら侑斗に言い聞かせる。
ほかに理由はない、ただ侑斗を愛しているからそばにいたいし離れたくない。
お金も指輪もなにも必要ないのだ。

「……絶対?」

しばらく黙り込んでいた侑斗が、探るような声でつぶやいた。

「絶対です。なにがあっても、侑斗さんになにをされても言われても、絶対に離れてあげません。信じて」

梨乃は自分の意思でそばにいるのだ。
いい加減信じてほしい。

「……今の言葉、忘れるなよ」
「え?」
「俺になにをされても離れないんだな。いい心がけだ」

明るく笑う侑斗の声が静かな部屋に響き、梨乃はもぞもぞと顔を上げた。

「この部屋のベッドルームのテーマは〝プリンセズの夜〟だって知ってるか?」

梨乃と視線が合った途端、侑斗は意味深な笑顔でつぶやいた。

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