溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~
梨乃は侑斗の手から慌ててスマホを取り、呆然と写真を見つめた。
ホテルで撮られるのならわかるが、どうして翔矢の通う高校の近くで写真が撮られたのかわからない。
梨乃は不安を覚え、侑斗を見上げた。

「あのカフェに、K高の学生がいたのを覚えてるか? その中に翔矢君を好きな女の子がいて、こっそり写真を撮っていたんだ」
「翔矢を好きな女の子……」

驚く梨乃に、侑斗は「これなんていい写真だよな」とつぶやき、スマホに一枚の写真を呼び出した。
それは梨乃の隣でカフェ俺を飲んでいる翔矢。
一応、梨乃と侑斗も映っているが、翔矢にピントが合っていて、まさに翔矢が好きな女の子が撮った写真だ。

「この写真を撮った女の子のお姉さんがうちのホテルの従業員。妹のスマホをたまたま見て俺と梨乃に気づいたらしい。そして、拡散だ。世間は狭いよな」
 
面白がる侑斗に、梨乃は眉を寄せた。

「そんな他人事みたいに言わないでください。じゃあ、駐車場の写真は誰が?」
「別の従業員。出先から帰ってきた経理部の女性が、俺たちに気づいて撮ったそうだ。諒太の秘書が写真の出どころを探ってわかった」

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