強引な無気力男子と女王子
 ‥‥‥悠理は、何してるだろう。
 「百華」と一緒にいるのかな。
 ‥‥‥なんだろう、胸がモヤモヤする。
 正体のわからない感情に首を捻っていると。
 ーガンッ。
 誰かに硬いもので後頭部を殴られた。
 「え‥‥‥」
 「油断は禁物だぜ、『女王子』様?」
 そこには、以前私の胸倉を掴んだ男子が立っていて、ソイツを中心としたガラの悪そうなグループが私を囲んでいた。
 覚悟しとけとは言ったけど、まさかこんな‥‥‥。
 薄れゆく意識の中、私は必死に助けを求めようと、周りを見る。
 でも、みんなやっぱりキャンプファイヤーに夢中で、誰もこちらを見ていない。
 「さあ、よく眠りな、王子様」
 次の瞬間、私は意識を手放した。

 「ん‥‥‥‥‥‥」
 「起きたか」
 ここ、どこ‥‥‥。
 確か、一人でキャンプファイヤー見てて、それで‥‥‥。
 ‥‥‥‥‥‥!
 ハッキリと意識を取り戻し、私は飛び起きた。
 「いやあ、案外簡単だったな」
 そう言って、男は取り巻きと一緒に笑った。
 「これ、外して」
 私の手は、縄で縛られてて、思うように動かない。
 手さえ自由だったら、コイツらなんか、投げ飛ばして見せるのに‥‥‥!
 悔しさで唇を強く噛む。
 「それは出来ねえ相談だなあ?」
 そう言って、男たちは、ニタニタ笑う。
 ここ、どこかの倉庫?
 それも、結構古い。
 その倉庫は、手入れされていない感じで、埃だらけ。
 そんな床に私は座っている。
 「ー助けて!!」
 大きく息を吸って、大声で助けを求める。
 「助けは来ねえよ?ここは、キャンプファイヤーやっていた広場から、だいぶ離れているしな」
 「‥‥‥こんなところに拉致して、私をどうするつもり?」
 「決まっているだろ?憂さ晴らしだよ、憂さ晴らし」
 まあ、大方予想はしていた。
 殴られるのか?
 痛いのには強いほうだから大丈夫だと思うけど。
 「安心しろ。殴ったりはしねえよ」
 「は?」
 じゃあ、どうやって憂さ晴らしするんだ。
 訳がわからない。
 男は、混乱している私に近づいてくる。
 「お前みたいな女のプライドをへし折る方法ならいくらでもあるぜ?」
 そう言って、男は私のジャージのファスナーに手をかける。
 ‥‥‥まさか。
 「お前さあ、顔も性格も気に入らねえけどよお、体は結構いいんだよなあ」
 「やめろ!近づくな!」
 「おっと、暴れんなよ」
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