ONLY YOU~過ちの授かり婚~
「頭取、壬生です」

「入れっ」

「失礼します」

壬生さんがドアを開け、私を先に中に通した。

純也さんは黒檀のシンプルだけど重厚感のあるプレジデントデスクの椅子に腰を下ろし、仕事をしていた。

「はい、これが荷物だ。頭取」

「サンキュー」

「頭取夫人も連れて来ました…俺は仕事に戻りますね。頭取」

「ありがとう…壬生」
壬生さんは私にウィンクして先に出てしまった。

「白野…彼女にお茶を淹れてくれ」

「承知しました」

純也さんよりも一回り年上の秘書の白野さん。

落ち着きがあり、頼りになると純也さんは言っていた。

純也さんは立ち上がり、私を応接の肘掛椅子に座らせた。
私は言われるまま、黒の皮張りの肘掛椅子に腰を下ろした。

硝子製のローテーブルを挟んで、真ん前に純也さんは腰を下ろす。

「で、俺に話って何?」

「あ・・・」



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