ONLY YOU~過ちの授かり婚~
過ちのオトコ
私はバックに徹さんから貰ったエンゲージリングを忍ばせていた。

「行くよ。乃彩さん」

「あ、はい」
私は壬生さんの案内でエレベーターホールに向かう。

涼やかな音と共にエレベーターが停止。
定時で仕事え終えた本店勤務の人達が出て来る。

エレベーターが空になり、私と壬生さんが乗り込んだ。
そして、壬生さんが最上階フロアのボタンを押した。

「初めてなので緊張します」

「そう?でも・・・これからも来るコトあると思うし、慣れないとね。頭取夫人」

「え、あ・・・」

逸るキモチを抑えていると心臓のドキドキが加速する。

エレベーターが最上階フロアに停まった。
「お先にどうぞ」

壬生さんがボタンを押して、先に私をホールへと誘う。

「ありがとう」

廊下は重厚な唐草模様の緋色の絨毯が敷き詰められていた。

「こちらです」

壬生さんの案内で頭取室を目指した。

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