ONLY YOU~過ちの授かり婚~
私達は早々に諦めソファから立ち上がり、支店長室を出て行こうとすると、支店長は不意に私達を引き留めた。

「秘書のお嬢さんだけ、少し残って」

「山田支店長!?」
父は唯ならぬ気配を感じ、私を背中に隠した。

「お嬢さんと二人だけで融資の話をしたいだけだ。
何を勘違いしてるんですか?蓮見社長」

「しかし、先ほど…これ以上の融資は…」

「わしも鬼じゃない。先週、わしのリクエストに応えくれたし。残らないなら、帰っていいよ。
但し、融資はしない」

山田支店長の言葉は最柊通告。

このドアの向こうに出たら、会社はおしまい。

「お父様、先に行って下さい。
大丈夫だから…」

「しかし…」

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