ONLY YOU~過ちの授かり婚~
頭取がマキアートを飲み終えると『スターカフェ』を出て、山田支店長と待ち合わせのホテル『ダイヤモンドホテル銀座』に向かった。

夜の闇に突き抜けるように建つ高層ホテル『ダイヤモンドホテル銀座』

「俺達が居るから…蓮見さん、安心しろ。
山田支店長には指一本触れさせない」

頭取は私の耳許で囁いた。
彼の声は甘く響き、鼓膜が震える。

私にとっては心強い言葉だった。

「だけど…私…実は」

私は頭取の耳許で言った。

「手を握られました」

「手ぐらいなら、いいだろ?」

「肩も抱かれました」

「肩は少しやり過ぎだな…まさか、キスも…」

「されそうにはなりましたが…顔を俯かせて防備しました」

「全く…支店長室で何をしてんだ…ハゲ狸が」

頭取の例えがウケてしまい、思わず笑ってしまった。

「味方にしようと思ったが…やはりハゲ狸は飛ばすぞ。壬生」

「えぇ~っ!?
味方につけるんじゃなかったのか?」

頭取は眼鏡のブリッジをクイッと指で押し上げ、先にスタスタと歩き出した。

「二人は何してる?行くぞ!!」

頭取は足を止めて振り返り、唖然としてる私達に吐き捨てた。



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