ONLY YOU~過ちの授かり婚~
「さあっ、じっくりと説明して貰いますよ。山田支店長」

頭取は酷く狼狽する山田支店長を尻目にソファに深く腰を下ろした。

すぐそばには大きなダブルベット。
全面硝子に向こうに見えるのは素敵な夜の夜景。

山田支店長ではなく、頭取とこんなスイートに宿泊出来たら、どんなに素敵だろう。

「頭取、蓮見さんはどうします?」

壬生さんが頭取に問いかけた。

「彼女の役目は終わったし、先に帰すか…
壬生お前が送ってやれ」

「分かった…」

私は頭取と山田支店長を部屋に残し、壬生さんと出た。
部屋の滞在時間は二分程。

「純也はとても君を気に入っているようだ」

来た道を戻り、ホールでエレベーターの到着を待っていると壬生さんがポツリと呟いた。

「えっ?」

「俺と純也は長い付き合いだけど…アイツが自分から口説きにかかったのは蓮見さんが初めてだ」
「それって…」

「君の父親の融資は多分・・・何とかしてくれる」

「そう父に伝えていいですか?」

「あぁ。だから…君も純也のコト真剣に考えておいてくれ」

「それは…」

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