ONLY YOU～過ちの授かり婚～
東京国際空港から六時間のフライトを終え、ベトナム・タンソニャット国際空港に降り立つ。
空港からリムジンバスでホーチミン市内に移動して、最高級ホテル『シェラトンホテル・ホーチミン』へと到着。
ベトナムは湿度七十五パーセントの熱帯気候。
桜が開花したばかりの春先の日本を飛び出して、いきなり常夏の季節に突入。
カラダが暑さに慣れていない上、この湿度の高さは余計に不快感が増した。
麻混じりのベージュのスーツに身を包み、白いシャツにノータイ。
クールビズスタイルで駐在行員たちとロビーで待ち合わせをした。

「少しお疲れのようですね…頭取」

川瀬は精一杯俺に気を遣っていた。
「この湿気で少し気分が悪い」

「大丈夫ですか？」

「あぁ」

少しして、慌てた様子で四人の日本人たちが駆け寄って来た。



現地に滞在する駐在行員の案内で、ホーチミンでも有名なレストランへと車で移動する。
車窓から見える市内の風景は長らくフランスの占領下の植民地の影響が、フランス調の建物が多く、他のアジアの街並みとは一味違う印象を受けた。




< 68 / 196 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop