ONLY YOU~過ちの授かり婚~
駐在行員たちが案内してくれたレストランはホーチミンでも有名な飲食店。

店内の随所には凝らされた調度品や絵画が飾られていた。
俺達の席は木目のテーブルに背もたれに装飾が施された椅子に白いテーブルクロスがかかった清潔感のあるテーブル席。

俺達の席のそばにはステージがあり、時間帯によってはピアノやバイオリン、チェロの生演奏が聴けると言う。

俺達渡航組は、現地の駐在行員の料理のチェイスは任せた。
彼らは直ぐに従業員の女性を呼び、注文していく。

俺はグラスの水で乾いた喉を潤し、ステージに目を向けた。

ベトナム語は飛び交う店内。

駐在行員たちと世間話を交えていると揚げ物が運ばれて来た。

「これは何ですか?」

「米皮で包んだ海老の揚げ物です」

「へぇー…」

ベトナム語では『パイン・クォン・トムアップ・チャオ』と言うらしい。

食感は大根餅のようにモチモチしていた。


バナナの花つぼみと牛肉のサラダ、蓮の葉の蒸しご飯と見た目も味も面白いメニューがテーブルに並んだ。
勧められるまま『ダラットワイン』を飲んだ。

桑の実が入っていると言う珍しいワインで程よい苦みがクセになりそうなワインだった。




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