ONLY YOU~過ちの授かり婚~
「頭取には確か・・・婚約者がいらしゃいましたね」

「あれは副頭取が勝手に勧めた見合いだ。俺のキモチは入っていない」

「そうなんですか…」

「俺には好意を寄せている女性が居る」

多分、初恋。

三十路の男が何言ってんだろうか。
俺は苦笑した。

「頭取?」
「何もない」
俺は口許に浮かべた笑みを隠し、口を噤んだ。
「頭取が言い寄れば、相手の女性だって…拒まないですよ」
「そうか?」
俺はそうは思わなかった。
乃彩は今でも川瀬のコトを想っている。彼女は一途な女だ。
俺に抱かれながらも必死に川瀬の名前を呼んでいた。
でも、俺も男だ。
川瀬ではなく、俺を見て欲しいと思った。
姑息な手段だが、フラれるのが怖くて融資を盾に使い、乃彩に強引に交際を承諾させた。

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