ONLY YOU~過ちの授かり婚~
「別れた婚約者に未練はないのか?川瀬」

「未練ですか?無いと言えば、嘘になります。
六年も交際して、結婚を約束した相手です。そう簡単には忘れられませんよ」

情があるのか…

「よりを戻そうとは思わないのか?」

乃彩の胸の内を見れば、二人はよりを戻した方がいい。
純粋に川瀬を想い、涙を流した乃彩。

川瀬と同じように、乃彩だって川瀬に情を抱いてるのに違いない。

生憎、俺には涙を流してくれる女は居ない。

唯の性のはけ口にしかしてこなかったからな。

「でも、今は…別れた婚約者のコトよりも、頭取の仕事に同行し、銀行マンとしてスキルを磨きたいです」

「川瀬…」

俺には川瀬のワザと強がって言ってるようにしか思えなかった。




< 73 / 196 >

この作品をシェア

pagetop