ONLY YOU～過ちの授かり婚～

私は徹さんのお通夜に出席した。

「ゴメンなさいね。貴方と徹は婚約解消したと言うのに。明日の告別式は伊集院総理も出席なさるから…色々と人手が欲しくて・・・」

「いえ、おばさんには色々とお世話になりましたから…遠慮なさらないでください」

徹さんの母親は気さくな人で、私も本当の母親のように慕っていた。

私はおばさんと通夜ぶるまいのお手伝いをする。

「君が徹君の婚約者か？」

「いえ・・・」

徹さんと私の婚約解消を知らない遠縁の親戚の男性が問いかけて来た。

私は適当に愛想笑いで誤魔化した。

やはり、私は此処に居てはいけないのかもしれない。

「ゴメンなさいね。乃彩さん」

「いえ」


「こっちはいいから…あっちをお願い」

「はい」

おばさんは私に気を遣い、親族や近親縁者の席から離し、会社関係を手伝うように言った。

私はテーブルを移動した。

「蓮見」

大学時代、私達の同じテニスサークルに居た加藤先輩は私を呼んだ。

「お久しぶりです」

「蓮見お前、徹と結婚したんだな」

「ううん、私達、婚約解消したの・・・」