悔しい心音に望む






「百亜、やめちゃったの?」


「ん?」




数日後の放課後。


私を品定めしてばかりな彼女がスマホを掲げて、首を傾げた。




「ああうん、もういいかなって」


「ええー勿体ないよぉ。フォロワーだって多かったのに」




目に見える数字。流行りっぽい投稿。色。




「私、画面上で判断されるの、だいっきらい」




必要ない、厄介な承認欲求。


彼女には心に隙間があいてしかたないみたい。


要らない要らない信用できない “ 可愛い ” も、きっと彼女は欲しがっちゃう。前の私みたいに。


怪訝な表情を浮かべた彼女に私は律儀に微笑んで。




「じゃあね」




今までの妬みは見ないフリしてあげるね、と上から目線に手を振った。


流行りのスイーツも、見せびらかす仲の良さも、センチメンタルな風景も、可愛い自分も。


要らない。


要らないけど。




「近江!」




最近コンタクトにしたおかげで注目を集めてる彼が、もっと律儀に私を待っててくれるから。




「百亜」




承認欲求。可愛げ。画面上のハートはもう要らない。


可愛い私はきみのためだった、なんて。


悔しいし。


……うん、悔しい。だけど届いている。


届いて、それで望んでる。


すきの先のすき。


勝ち取るのは私だし。








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