悔しい心音に望む
◇
「百亜、やめちゃったの?」
「ん?」
数日後の放課後。
私を品定めしてばかりな彼女がスマホを掲げて、首を傾げた。
「ああうん、もういいかなって」
「ええー勿体ないよぉ。フォロワーだって多かったのに」
目に見える数字。流行りっぽい投稿。色。
「私、画面上で判断されるの、だいっきらい」
必要ない、厄介な承認欲求。
彼女には心に隙間があいてしかたないみたい。
要らない要らない信用できない “ 可愛い ” も、きっと彼女は欲しがっちゃう。前の私みたいに。
怪訝な表情を浮かべた彼女に私は律儀に微笑んで。
「じゃあね」
今までの妬みは見ないフリしてあげるね、と上から目線に手を振った。
流行りのスイーツも、見せびらかす仲の良さも、センチメンタルな風景も、可愛い自分も。
要らない。
要らないけど。
「近江!」
最近コンタクトにしたおかげで注目を集めてる彼が、もっと律儀に私を待っててくれるから。
「百亜」
承認欲求。可愛げ。画面上のハートはもう要らない。
可愛い私はきみのためだった、なんて。
悔しいし。
……うん、悔しい。だけど届いている。
届いて、それで望んでる。
すきの先のすき。
勝ち取るのは私だし。