貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「喪中の内は、まだ夜をともにすることができないから、まずは食事を一緒にどうかな」

「もちろん、喜んで。けれど、ご無理をなさらないでください。時間ならこれからいくらでもあるんですもの」

「紅華殿は、優しいね。私は、妃というものを誤解していたのかもしれない」

「誤解……ですか?」

「後宮妃というものは、もっと怖い人がなるものだと思っていたよ」

 冗談のようにおどけて言って、自分で笑う。つられて紅華も笑った。

「まあ。でも、何人も寵妃が集まれば、そういうこともあるかもしれませんね」

「そうだね。でも、私は妃は一人しか持たないつもりだから」

「え……?」

 ふわりと、晴明が笑う。

「私は、たった一人の人だけを愛して、大切にしたいんだ」

「陛下……」

 真摯なその言葉に、紅華の胸が高鳴る。

(私は、こういう方の妃になるのね)

 熱くなった頬をうつむけてお茶を手に取った紅華は、横にいた睡蓮の様子を見て、は、とする。

 うつむいて唇をかみしめたその表情は、何かを必死に耐えているようだった。


「睡蓮……?」

 思わず声をかける。だが、即座に紅華に向けた顔には、一点の曇りもなかった。

「はい、いかがいたしました?」
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