貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 結局、やはり紅華の結婚は自分の意思とは関係ないものになってしまった。しかも、相手は自分の親と同じ歳ときた。どんなに見事な車に乗っても憧れていた晴れ着を着ていても、心は憂鬱なままだった。
 
(終わったわ。私の人生)

 紅華がぐちぐちとふてくされていると、急に車がとまった。

「どうしたのかしら」

「ちょっと見てまいりますわね」

 車内に同乗していた侍女が、外へと出て行く。しばらくして、侍女ではなく数人の男性が紅華の馬車へとやってきた。紅華の姿を見つけると、全員その場に膝をついて礼をとる。

「蔡紅華様であらせられますね」

 服装からしてどうやら官吏らしい男たちの顔にも、紅華以上の困惑の色が浮かんでいた。
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