貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「この度は、ご入宮、まことにお喜び申し上げます。ですが……」

「何かあったのですか?」

 紅華が聞くと、その官吏はあたりをうかがいながら低い声で言った。

「実は、先ほど……皇帝が崩御されました」

「……は?!」

  ☆

「お、あの車じゃないか?」

 長いこと窓に張り付いていた天明が、何かを見つけて開いた窓から大きく身を乗り出した。

「天明、あまり顔を出すな。落ちるぞ」

 言いながら晴明も、席を立って窓際に近づく。

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