貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 そう言われてしまえば、紅華も無理にとは言えない。ちらり、と天明を見ると、察した天明は紅華に笑顔を向ける。


「もうへまはしないさ。俺が晴明についているから、心配するな」

 天明は、いつもの調子で軽く答えた。

「わかりました。では、失礼します。ご無理なさいませんように、晴明様」

「ありがとう。また、一緒にお茶を飲もうね」

「はい。次は、まろやかなお菓子を用意いたしますわ」
 
 紅華の言葉に、晴明は弱く微笑んだ。その白い顔を見ながら、紅華は、睡蓮と一緒に執務室をあとにした。


 部屋へ戻りながらも、後ろ髪をひかれる思いで紅華はちらりと背後を振り返る。

「晴明様、本当に大丈夫かしら」

「解毒薬が効けば、おそらくもう大丈夫です」

「晴明様も睡蓮も、手慣れていたわね。こういうことって、初めてではないの?」
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