貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「どういうこと?」

 欄悠が縄をほどいてくれた手首をさすりながら、紅華は聞いた。

「ある人物から、お前を夜まで預かってくれと頼まれたんだ」

「後宮から貴妃を誘拐なんて、あきらかに犯罪よ? 頼まれたとは言っても、あんただってただではすまないわ。一体誰に頼まれたのよ?」

「そんなこと、俺が正直に言うと思うか?」

 せせら笑う欄悠を、紅華は失望しながら見ていた。


(これが本当の欄悠の姿なの……?)

 後宮にあがってからはいろいろ、本当にいろいろあったおかげで、欄悠のことなどすっかり忘れていた。こうして再び向かい合っていても、どうしてあの頃、あれほどにこの男に熱を上げていたのかさっぱり思い出せない。

(結局、私だって欄悠のこと、その程度にしか見ていなかったのね)
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