貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「これなら義姉よりも、恋人の方がいい。晴明なんかやめて、俺にしろよ」

「お断り申し上げます」

「即答とはつれないな。断ったことを後悔する日が来るぜ?」

「断る……? 断りもなく……」

 べし、と自分の顎に当てられた手を紅華ははらった。

「婦女子の体に触れないでください」

 驚いた顔をしたが、天明は怒りもせずに笑った。


「なんと気の強いお嬢さんだ。気にいった」

「私はまったく気に入りません」

「いいね、その目。ぞくぞくする」

 天明は、睨みつける紅華を楽しそうに見返す。
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