貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
紅華が尋ねると、その男と睡蓮が一緒に目を丸くした。が、すぐに男は柔らかい笑みを浮かべる。
「瞬きの間にもうお忘れになったのですか? 黎晴明です」
「そうでは、ありませんよね」
「おわかりになりますの? 蔡貴妃様」
驚いたように睡蓮に言われて、紅華は首をひねった。
「よく似ておいでですけど……ご兄弟の方ですか?」
前皇帝には、四人の皇子がいた。その第一皇子、つまり皇太子が、紅華の夫となる黎晴明だ。おそらく、残りの三人のうちの一人だろう。
「驚いたな」
砕けた口調になった男は、無遠慮に紅華に近づく。
「今の俺を見て、晴明と区別がつくとは。俺は、黎天明。晴明と同じ歳の、腹違いの弟だ」
「蔡紅華でございます。では、私はあなたの義姉になるのですね」
「そうだな。だが」
ひょい、と天明は紅華の顎を持ち上げて顔を仰向かせる。
「ほう。かんばせは悪くない」
「……どうも」
「瞬きの間にもうお忘れになったのですか? 黎晴明です」
「そうでは、ありませんよね」
「おわかりになりますの? 蔡貴妃様」
驚いたように睡蓮に言われて、紅華は首をひねった。
「よく似ておいでですけど……ご兄弟の方ですか?」
前皇帝には、四人の皇子がいた。その第一皇子、つまり皇太子が、紅華の夫となる黎晴明だ。おそらく、残りの三人のうちの一人だろう。
「驚いたな」
砕けた口調になった男は、無遠慮に紅華に近づく。
「今の俺を見て、晴明と区別がつくとは。俺は、黎天明。晴明と同じ歳の、腹違いの弟だ」
「蔡紅華でございます。では、私はあなたの義姉になるのですね」
「そうだな。だが」
ひょい、と天明は紅華の顎を持ち上げて顔を仰向かせる。
「ほう。かんばせは悪くない」
「……どうも」