貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「思ったのと違ったが、なんと俺好みのお嬢さんだ。本気でお前が欲しくなったよ」

「人のことお前だなんて呼ぶ人とは仲良く出来ません! 陛下の兄弟なら仲良くしていきたいと思ったけど、誰があんたなんか! 馬鹿にするのもいい加減に……!」

 紅華が睡蓮に止められてじたばたしていると、三人の耳にほとほとと扉を叩く音が聞こえた。


「はい」

 睡蓮が扉を開けると、そこには天明と同じ顔をした男が立っていた。

「晴明陛下」

 紅華はあわてて裾をはらうと、晴明に向かって礼をとる。晴明は、先ほどの喪服ではなく、普段着をきていた。

 晴明は、にこりと笑う。

「こんにちは、紅華殿。さきほどは……」

 言いかけた晴明が、不自然に言葉をとめた。


「よう、晴明」

「天明?!」

 なぜか晴明はうろたえたが、すぐに大きくため息をつく。
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