貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「ええ。内宮の入り口のところに咲いていたのです。可愛らしいと思って摘んできたのですが……貴妃への最初の贈り物としては失礼でしたね」

 急に恥ずかしくなったのか、照れたように笑う晴明に、紅華は戸惑いながら首を振った。

「いいえ……いいえ。とても嬉しいですわ」


 紅華は、少し首を垂れてしまったその紫の花を見つめる。

 紅華の婚約者になるために、見合いをした男たちは様々な贈り物をしてきた。そのどれもが高価で美しいものだったが、おそらく本人たちは何が紅華に贈られたのかは知らないだろう。全ては家同士で行われていたから。

 だから、自分が可愛いと思って、という晴明の言葉に、紅華は感動した。

(本当に優しい人なのね)

 人としては、とても好感を持つ青年だ。けれど、次期皇帝としては、いささか頼りない気もする。

(でも、花に罪はないわよね)
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