貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
「紅華殿」

「は、はい」

「父上が亡くなって、これから後三カ月の間、私は喪中に入る。だから君が貴妃となる入宮の儀は、喪が明けてから執り行うことになった」

「はい」

 それは予想していたことなので、紅華は驚かなかった。


「それまで君は、正式な貴妃ではないにしろ妃に準じる立場になる。ここで好きに過ごしてくれて構わないよ。何か不自由があれば、睡蓮に言ってくれ。彼女はね、前皇帝の代から女官長を務めている信頼できる女性なんだ。とても頼りになるんだよ」

 にこやかに晴明は続けた。
 晴明が思ったより饒舌に話をしてくれるので、紅華は少し気が楽になる。

「わかりました」

「それから、今日はこれを」

 そう言いながら、晴明は懐から小さな箱を取り出して紅華に渡した。紅華の手の平には少しあまるくらいの細長い箱だ。紅華は、晴明を見上げる。
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